「あの次男坊の専門管轄からは、若干主軸がズレる話だ。『目に見える謎だ、人間が起こしているのなら人間がやれ』と、一蹴されてもおかしくはない」
『よく分かったな、まさにそんな返答だったそうだ。あの男は変わっている』
「物事が正確に見え過ぎるから、そう感じるだけであって、魔術師なんて大抵はそんなものだ」

 とくにおかしいところはないと言わんばかりに、蒼慶は涼しい表情で言い切った。
 現代の魔術師ねぇ……ナンバー1が、よく分からないという心境を漂わせて呟く。

『私も何度か『表』で接触した事はあるが、あの強烈なタイプの兄と、温厚な癖に突然精神的DVを発動してくる弟を見る限り、魔術師だとか、そういう話とは無縁な気もするんだが……むしろ、あの兄の方、お前に似ている気がしてならない』
「あいつと私を一緒にするな。前にも言ったが、宮橋一族自体は、魔術やら特殊筋とは一切関係ない」
『その台詞、宮橋雅兎(みやはしまさと)の兄とほぼ同じだぞ……お前ら、本当に学友だったのか?』

 ナンバー1は、友人らしい仲を匂わせる場面に覚えがない、と疑わしそうに本音をこぼした。それを電話越しに聞いていたが、蒼慶は無視した。