「私達のような家柄の者は、生まれた頃から、それを『把握しておくよう』義務付けられて教育される。つまり貴様とは、元々の出来が違う。頭の構造も違えば、記憶するスペースも違うのだ」
『しれっと言ってくれるがな…………そうやって、いちいち毒舌をはさまんでもいいだろうに』

 そんな声を聞きながら、蒼慶はふぅっと息を吐いていた。前髪を後ろへと撫でつける。
 手短に考えをまとめている様子を電話越しに察したのか、ナンバー1がこう続けた。

『疲れているみたいだが、これまでは伝えておく。特殊機関(ウチ)に回って来た仕事ではないが、近年、警察が頭を抱えるような妙な事件が増えているらしい。ほれ、お前が以前言っていた【そういった一族の云われ】だとかを聞くのなら、宮橋財閥の次男坊をあたれといっていただろう。彼がいるL事件特別捜査係の方にも、いくつか相談があったとか』