『……とにかく、こちらでもちゃんと調べている。確かに、そちらからもらった情報にヒットするものが二、三件あった。どれもAランク以上の仕事で、最終的には全て雪弥が処理している』

 とはいえ、とナンバー1はそこで吐息をもらして、堅苦しい調子をやや和らげた。

『先に言っておくが、どれも偶然、雪弥が空いていたから現場に突入したという流れだ。だからお前が懸念しているらしい、血筋とやらに引かれての【暴走】の類でもない。何せ、うちのナンバーズを数人から数十人導入するより、彼が一人で片づけた方が早いからな』
「そうだな……――そうかもしれん」

 蒼慶は、部屋の中央で一度立ち止まり、独り言のように口の中で呟いた。己の大きな手を見下ろし、ぎゅっと握りしめると、声色変わらないまま言葉を続ける。

「それで、その該当した『処分された者達』は、裏二十一家に由来する者だったのか?」
『いいや、裏二十一家とは無縁だった。事実はもっと複雑なようでな。調べてみると、どれもお前さんが以前口にしていた【表十三家が制圧したはずの一族の末裔】とやらだった』

 その回答を聞いた瞬間、蒼慶は僅かに表情を強張らせた。けれど彼は、すぐ冷静に戻ると書斎机へと足を向け、「それで?」と動揺は見せないまま無愛想に催促の言葉を投げながら、革椅子に腰を下ろす。