「どんなお話なの?」
「というか緋菜、兄さんから聞いた童話って、何?」
まさかあの当時、兄は歳の離れた妹に、読み聞かせまで行っていたのだろうか。既に難しい本ばかりを読んでいたのをよく覚えているから、あの蒼慶も絵本などを開いていた頃があったらしいと想像して、雪弥は意外に思ってそう尋ねた。
二人から質問をされた緋菜が、少し得意げに胸を張る。
「幼い頃、よく蒼慶お兄様に絵本を読んでもらったり、聞かされた不思議な童話が沢山あったのだけれど、それは桜の精霊のお話なの。一族の中にたった一人だけ、金髪で生まれた綺麗な女の子がいて、十二の歳を迎えた時に桜の精霊と半分同化した、みたいな――まぁ、ようするに歳を取らなくなる女の子の、お伽噺なのよ」
そう思い出すように口にしていた緋菜が、ふと顔を顰めた。「そうだ、ちょっと聞いてよ雪弥お兄様」と、ずいっと顔を寄せて、こちらの顔を覗きこむようにして見上げて言う。
「というか緋菜、兄さんから聞いた童話って、何?」
まさかあの当時、兄は歳の離れた妹に、読み聞かせまで行っていたのだろうか。既に難しい本ばかりを読んでいたのをよく覚えているから、あの蒼慶も絵本などを開いていた頃があったらしいと想像して、雪弥は意外に思ってそう尋ねた。
二人から質問をされた緋菜が、少し得意げに胸を張る。
「幼い頃、よく蒼慶お兄様に絵本を読んでもらったり、聞かされた不思議な童話が沢山あったのだけれど、それは桜の精霊のお話なの。一族の中にたった一人だけ、金髪で生まれた綺麗な女の子がいて、十二の歳を迎えた時に桜の精霊と半分同化した、みたいな――まぁ、ようするに歳を取らなくなる女の子の、お伽噺なのよ」
そう思い出すように口にしていた緋菜が、ふと顔を顰めた。「そうだ、ちょっと聞いてよ雪弥お兄様」と、ずいっと顔を寄せて、こちらの顔を覗きこむようにして見上げて言う。