彼らの話を全く聞いていなかった雪弥は、まさか話題を振られると思っていなかったから、どうにかぎこちない愛想笑いを返した。一体、兄はどんな感じで、僕の大学の件を『世間話』に盛り込んだのだろうか、と思う。
「えぇと、そうでもないですよ」
雪弥は適当に答えながら、先程からずっと考えていた事へチラリと意識を戻した。最後に宵月が伝えてきた『蒼慶の伝言』が、頭にこびりついて離れないでいる。
――侵入者は人間ではないのかもしれない、だから気を付けろ。
人間ではない、といわれると、どうしてか夜蜘羅という男が連れていたモノが思い出される。
どんなに攻撃を与えても痛みを感じないように動き続けて、手足が有り得ない方に曲がったり伸びたりしていた存在だ。アレは前回の仕事で、とある『薬』によって変化した大学生のようなものとは、全く別とも感じていた。
どう違うのかと言われれば、表現がちょっと難しい。なんというか、元々アレは『あのまま』が本来の姿と形なのではないか、という直感的な想いと印象を抱いているというか――
「えぇと、そうでもないですよ」
雪弥は適当に答えながら、先程からずっと考えていた事へチラリと意識を戻した。最後に宵月が伝えてきた『蒼慶の伝言』が、頭にこびりついて離れないでいる。
――侵入者は人間ではないのかもしれない、だから気を付けろ。
人間ではない、といわれると、どうしてか夜蜘羅という男が連れていたモノが思い出される。
どんなに攻撃を与えても痛みを感じないように動き続けて、手足が有り得ない方に曲がったり伸びたりしていた存在だ。アレは前回の仕事で、とある『薬』によって変化した大学生のようなものとは、全く別とも感じていた。
どう違うのかと言われれば、表現がちょっと難しい。なんというか、元々アレは『あのまま』が本来の姿と形なのではないか、という直感的な想いと印象を抱いているというか――