つまりは、一番目の引き継ぎ作業みたいなものである。それを『開封の儀』と呼んでいるらしい。手短に説明された雪弥は、つまり就任に向けての準備みたいなものか、と簡単に解釈した。
「隠し扉の鍵が解除されるよう、現当主である旦那様が事前に仕掛けを操作して設定した日が、本日の零時なのです」
「ふうん、それは知らなかったな……。わざわざ先にその本を継承するのは、次期当主がそこに、自分の代の『役職』の名前を書き記していく決まりでもあったりするの?」
「そのようです。就任されるまでには全役職が決定致しますから、それまでに仕上げるのが決まりだそうです」
そう答えながら、彼が感情の読めない目でこちらを見据える。
「そこに一度記されたら、たとえなんらかの事態が起こって、その中の一人が欠けてしまっても、次の当主に引き継がれるまで『役職』の者が変わる事はございません――それが、ずっと昔に定められた蒼緋蔵家の継承ルールといわれています」
宵月が含むような口調でそう説いた。
「隠し扉の鍵が解除されるよう、現当主である旦那様が事前に仕掛けを操作して設定した日が、本日の零時なのです」
「ふうん、それは知らなかったな……。わざわざ先にその本を継承するのは、次期当主がそこに、自分の代の『役職』の名前を書き記していく決まりでもあったりするの?」
「そのようです。就任されるまでには全役職が決定致しますから、それまでに仕上げるのが決まりだそうです」
そう答えながら、彼が感情の読めない目でこちらを見据える。
「そこに一度記されたら、たとえなんらかの事態が起こって、その中の一人が欠けてしまっても、次の当主に引き継がれるまで『役職』の者が変わる事はございません――それが、ずっと昔に定められた蒼緋蔵家の継承ルールといわれています」
宵月が含むような口調でそう説いた。