逆さになった風景を、ぼんやりと見つめて思案した。向こうから聞こえてくる談笑の声に、しばし耳を済ませる。
「兄さん達の方、しばらくは終わらないんじゃない……?」
雪弥は、身体を支えている右手を曲げると、伸ばす反動で弾みをつけて飛び上がった。一気に跳躍した高さから、身体を回転させてテラスの塀へ降り立つ。
突き出た半円系のテラスを取り囲む塀の幅は、拳ほどの大きさだった。そこに立って辺りを見回してみると、近くに亜希子たち女性陣の姿はなかった。ふと、右方向にも、小さな半円形状のテラスがあるのが目に留まった。
「なんか、そのまま行けそうだなぁ。……あそこから抜け出せないかな」
音楽室のような大部屋にすっかり飽きていた雪弥は、あちらまでの距離をざっと目測すると、再び眼下に広がる庭園の様子を確認した。
二階のテラスから、雪弥は改めて一階下をみた。
広々とした庭園の屋敷側近くには、こちらに背を向けるようにして、桃宮勝昭と蒼慶がテーブル席に腰かけて話している。兄のそばには、ピシリと背を伸ばして立っている宵月の姿があった。
「兄さん達の方、しばらくは終わらないんじゃない……?」
雪弥は、身体を支えている右手を曲げると、伸ばす反動で弾みをつけて飛び上がった。一気に跳躍した高さから、身体を回転させてテラスの塀へ降り立つ。
突き出た半円系のテラスを取り囲む塀の幅は、拳ほどの大きさだった。そこに立って辺りを見回してみると、近くに亜希子たち女性陣の姿はなかった。ふと、右方向にも、小さな半円形状のテラスがあるのが目に留まった。
「なんか、そのまま行けそうだなぁ。……あそこから抜け出せないかな」
音楽室のような大部屋にすっかり飽きていた雪弥は、あちらまでの距離をざっと目測すると、再び眼下に広がる庭園の様子を確認した。
二階のテラスから、雪弥は改めて一階下をみた。
広々とした庭園の屋敷側近くには、こちらに背を向けるようにして、桃宮勝昭と蒼慶がテーブル席に腰かけて話している。兄のそばには、ピシリと背を伸ばして立っている宵月の姿があった。