一体、国家機密(ウチ)の情報が、どうやって彼らに知れ渡っているのか大変気になる。ウチの技術班めちゃくちゃ頑張っているのに……というか、そもそも兄は、どういった経緯でナンバー1にまで辿りついてしまったのか。


「蒼緋蔵家を含む『大家』、そして『名家』や『旧家』の歴史は、あなたが思っている以上に長く、深い」


 ふと、唐突にそんな事を言われた雪弥は、思案を中断しつつ視線を戻した。すると、横顔に眼差しを受けてすぐ、宵月が意図の読めない視線をチラリと返してきて、こう続けた。

「もし、今回の件が『貴方達の知る』暗殺技術によるものではなく、全く別の、特殊な事情があってのモノであるとしたら、どうします?」
「まるで、事を起こした相手が、人間じゃないみたいな言い方ですね」

 そんな直感的な印象を、冗談のように口にした。けれど宵月は、まるで問いかけの答えを待つかのように何も言ってこないでいる。

 よくは分からないけれど、少し真面目に考えてみた。これまであった仕事で、異例な事情から発生した『敵』を思い返してみれば、遺伝子や細胞を人為的にいじられて、兵器と化した人間や動物もあった事が思い出された。