「おかしいな。兄さん、別件で予定があるんじゃなかったっけ……?」
「何ぶつぶつ言ってるの? あと少ししたら、遅めの昼食を食べる予定なのよ。雪弥お兄様も、一緒に食べてくれるのよね? すぐに帰ったりしないんでしょう?」
「うん、一緒に食べる事は聞いてるし、すぐに帰ったりしないよ。ちょっとその辺を歩いたら、僕も屋敷に戻るから」
安心させるように笑いかけて見せたら、緋菜が満面の笑みを浮かべてくれた。彼女は嬉しそうに「あとでね!」と手を振ると、中へと引っ込んで見えなくなった。
その後、雪弥は庭園を抜けて、薔薇で出来た壁の通路を進んだ。
そこから樹園へと入って姿が隠れたところで、時間を短縮するため一気に駆けだすと、風のように木々の間を突き進んで、蒼緋蔵邸の本家敷地を取り囲む『壁』まで向かった。
到着したのは、第二の門扉から続く高さ数メートルの塀だった。そこを中心として、左右に数キロメートル続く壁みたいな塀沿いを歩いて確認してみたものの、特にこれといった異変は見られなかった。
「何ぶつぶつ言ってるの? あと少ししたら、遅めの昼食を食べる予定なのよ。雪弥お兄様も、一緒に食べてくれるのよね? すぐに帰ったりしないんでしょう?」
「うん、一緒に食べる事は聞いてるし、すぐに帰ったりしないよ。ちょっとその辺を歩いたら、僕も屋敷に戻るから」
安心させるように笑いかけて見せたら、緋菜が満面の笑みを浮かべてくれた。彼女は嬉しそうに「あとでね!」と手を振ると、中へと引っ込んで見えなくなった。
その後、雪弥は庭園を抜けて、薔薇で出来た壁の通路を進んだ。
そこから樹園へと入って姿が隠れたところで、時間を短縮するため一気に駆けだすと、風のように木々の間を突き進んで、蒼緋蔵邸の本家敷地を取り囲む『壁』まで向かった。
到着したのは、第二の門扉から続く高さ数メートルの塀だった。そこを中心として、左右に数キロメートル続く壁みたいな塀沿いを歩いて確認してみたものの、特にこれといった異変は見られなかった。