何が正しくて、何が間違っている『思考』なのか分からない。頭が上手く働いてくれなくて、ただ雪弥は指を開いた両手で顔を覆ったまま、ゆっくりと空を見上げていた。ひどく眩しい青に、何故かひどく殺気立った。
眩しい光に満ちる世界が――
嗚呼。眩しさに包まれた、この世界が憎い。
その言葉が、自分の口から発せられたものなのか、頭の中で起こった独白なのか分からなかった。この怨み忘れるものか、と身体に流れる血が囁きかけてくる気がした時、『守り従うべき一族の直系』の声が耳に飛び込んできて我に返った。
「お兄様! お散歩中なの?」
一気に感情が戻って、冷たい光を灯した瞳から殺気が引く。顔に触れていた手を降ろしながら、ゆっくりと声のする方へと視線を向けると、本館の見晴らし台になっている尖塔の出窓から、緋菜が大きく手を振っているのが見えた。
雪弥は、自分が何故こんなところを歩いているのか、を思い出すのに十数秒を要した。先程まで何かを考えていた気がしたものの、よく覚えていない。
眩しい光に満ちる世界が――
嗚呼。眩しさに包まれた、この世界が憎い。
その言葉が、自分の口から発せられたものなのか、頭の中で起こった独白なのか分からなかった。この怨み忘れるものか、と身体に流れる血が囁きかけてくる気がした時、『守り従うべき一族の直系』の声が耳に飛び込んできて我に返った。
「お兄様! お散歩中なの?」
一気に感情が戻って、冷たい光を灯した瞳から殺気が引く。顔に触れていた手を降ろしながら、ゆっくりと声のする方へと視線を向けると、本館の見晴らし台になっている尖塔の出窓から、緋菜が大きく手を振っているのが見えた。
雪弥は、自分が何故こんなところを歩いているのか、を思い出すのに十数秒を要した。先程まで何かを考えていた気がしたものの、よく覚えていない。