「なんだか、やけに最後を強く言ってきましたね」
「桃宮家を追ったか、付いてきた可能性も想定される。つい先程、あの一家が泊まっていた旅館で、死体が出たらしいという知らせをもらった」

 しれっと言ってきた兄に驚いて、雪弥は「それ、本当ですか?」と尋ね返してしまった。騒ぐなと言わんばかりに、蒼慶が眉をぐっと寄せてこう続ける。

「動物の変死と関連があるのかは知らん。ただ、死に方が少し似ているという事で、床下から発見されたというその遺体を、急ぎ調べてもらっているところだ。ざっと見ただけでは死亡日時、性別も年齢も分からない状態らしい」
「そんな捜査状況、警察がよく教えてくれましたね」
「協力にあたってくれている他の名家に、前もって声をかけていた。そこから寄越されている人間だからな、気付いてすぐに連絡をくれたようだ。向こうの方で情報規制もかけて、まだ他には知らされていない状況だ」
「…………隙のない情報網が怖い」