「宵月から報告は受けた。実を言うと、『複数の刺し傷』『水分がすべて引き抜かれた』特徴を持った動物の死骸に関しては、年内にウチの当主・及び『各役職』が代変わりをする旨を発表してから、この地区でたびたび発見されている」

 つまり初見ではないのだ、と蒼慶は言った。

 一体どういう事だろうか。そう思った雪弥は、先程驚いていたのは『知っている謎の死に方』だったからかと察して、宵月へと目を向けた。今回の仔馬の死骸も確認している彼が「変死の状況は酷似しています」と、その説明を引き継いだ。

「はじめは村落の犬や猫が数匹、次の週にバスが通っている役場あたりで山羊が二頭。そのあと、じょじょにこちらへと向かうように、その不自然な動物の死骸が上がり出して調べていた矢先でした」
「家の名が知られているほど、敵も増える。当主や次期当主の私も、例外ではない。だから少し警戒してはいたが、まさか屋敷の敷地内で出るとは思わなかったな」

 宙を見やって、蒼慶が思案気に口にした。