一緒にいるだけで、温かさが移ってくるような不思議な穏やかさを感じた。老いの線が刻まれたふっくらとした顔、上品な眼差しと慈愛が覗く微笑。まるで見つめている相手すべてに、『愛おしい』と語りかけてくるような目だ。
姿形に類似点があるわけでもないのに、どうしてか母の事が思い出されて、雪弥はひどく懐かしい気がして目を細めた。こんな風に誰かに見つめられたのは、十数年ぶりだと気付いて何故だか切なくなる。
「母をそんな風に言ってくれて、ありがとうございます」
宵月がそばに控えている中、しばらく間を置いてぎこちなく笑った。すると、紗江子が愛おしむように微笑み返してきた。
「またこうしてお会いできて、本当に嬉しいですわ」
不思議だ。見れば見るほど、なんだか、どことなく母と似てくる気がする。
もし母の紗奈恵がまだ生きていたら、こんな風に歳を取っていたのだろうか。そう想像した雪弥は、彼女に母の声まで重ねようとした自分に気付いて、小さく苦笑した。久しぶりに強く懐かしさを思い出して、胸が痛かった。
姿形に類似点があるわけでもないのに、どうしてか母の事が思い出されて、雪弥はひどく懐かしい気がして目を細めた。こんな風に誰かに見つめられたのは、十数年ぶりだと気付いて何故だか切なくなる。
「母をそんな風に言ってくれて、ありがとうございます」
宵月がそばに控えている中、しばらく間を置いてぎこちなく笑った。すると、紗江子が愛おしむように微笑み返してきた。
「またこうしてお会いできて、本当に嬉しいですわ」
不思議だ。見れば見るほど、なんだか、どことなく母と似てくる気がする。
もし母の紗奈恵がまだ生きていたら、こんな風に歳を取っていたのだろうか。そう想像した雪弥は、彼女に母の声まで重ねようとした自分に気付いて、小さく苦笑した。久しぶりに強く懐かしさを思い出して、胸が痛かった。