幼い頃と全く同じ台詞を聞いた雪弥は、間髪入れず突っ込んだ。呑気な表情でぶらさがっている『白豆』を今一度見ると、飼い主としてペットが嫌な視線に晒されるのを防ぐべく、携帯電話をスーツの内側へとしまい直した。
その時、階上の大扉が開閉する音が上がって、雪弥と宵月は肩越しにそちらへ目を向けた。
楽しげな声が近づいてきたかと思ったら、廊下を客室の方へ向かい出した桃宮夫婦の姿が見えた。こちらに気付いた紗江子が、少し驚いたように目を丸くする。
「まぁ、そんなところでお座りになられて、一体どうされましたの?」
「その、えぇと特に理由はないのですが――」
「こうして雪弥様と二人で、親睦を深めていた最中だったのです」
「嘘をつくな、親睦どころか警戒心と溝が深まったわ」
雪弥は、間髪入れず言い返した。そろそろ兄も出てくるだろうと思って、立ち上がった宵月に続いて階段を上がったところで、額の汗を拭っている桃宮と目が合った。
その時、階上の大扉が開閉する音が上がって、雪弥と宵月は肩越しにそちらへ目を向けた。
楽しげな声が近づいてきたかと思ったら、廊下を客室の方へ向かい出した桃宮夫婦の姿が見えた。こちらに気付いた紗江子が、少し驚いたように目を丸くする。
「まぁ、そんなところでお座りになられて、一体どうされましたの?」
「その、えぇと特に理由はないのですが――」
「こうして雪弥様と二人で、親睦を深めていた最中だったのです」
「嘘をつくな、親睦どころか警戒心と溝が深まったわ」
雪弥は、間髪入れず言い返した。そろそろ兄も出てくるだろうと思って、立ち上がった宵月に続いて階段を上がったところで、額の汗を拭っている桃宮と目が合った。