時刻は、既に昼前である。当初は、後で電話越しに怒られるのを覚悟で、宵月と取っ組み合ってでも帰ろうかなぁと思っていたのが、先程見付けた仔馬の変死体を見てから、帰るに帰れなくなってしまっていた。
宵月が他の男性使用人に指示を出して、地下のどこかへ移動させていた仔馬の死に方は、明らかに普通ではないだろう。その不安要素を、残したままにしておけない。
とはいえ、兄の方はやたら長話をしているらしい。
報告するという宵月と待ちながら、雪弥はそれを思って膝の上に頬杖をついた。ここに待機状態を初めてから、結構時間が経っている気がする。
「ケーキばっかりで、腹って膨らむのかねぇ」
「蒼慶様は、甘い物を滅多に召し上がりませんから、こうなる事を見越して、前もって間食をなさっておりました。さすがは蒼慶様です」
「ふぅん? じゃあ兄さんは涼しい顔で、紅茶か珈琲だけを飲んでいるわけか」
雪弥はそう呟いて、宵月が「普段は珈琲ですが、今は皆様に付き合って紅茶です」と教える言葉を聞き流し、少し考えてみた。
宵月が他の男性使用人に指示を出して、地下のどこかへ移動させていた仔馬の死に方は、明らかに普通ではないだろう。その不安要素を、残したままにしておけない。
とはいえ、兄の方はやたら長話をしているらしい。
報告するという宵月と待ちながら、雪弥はそれを思って膝の上に頬杖をついた。ここに待機状態を初めてから、結構時間が経っている気がする。
「ケーキばっかりで、腹って膨らむのかねぇ」
「蒼慶様は、甘い物を滅多に召し上がりませんから、こうなる事を見越して、前もって間食をなさっておりました。さすがは蒼慶様です」
「ふぅん? じゃあ兄さんは涼しい顔で、紅茶か珈琲だけを飲んでいるわけか」
雪弥はそう呟いて、宵月が「普段は珈琲ですが、今は皆様に付き合って紅茶です」と教える言葉を聞き流し、少し考えてみた。