「なんだか、養分を吸い取られたみたいだ」

 雪弥は、自分が抱いた印象を口にした。次へと考えを進めようとしたところで、不自然に小さく盛り上がった土がある事に気付いて、膝を折ってそちらを覗きこんだ。後ろから宵月が、同じ箇所を観察するように腰を屈める。

 それは、硬い土で出来た、小さな盛り上がりだった。手でそっと触れてみると、中は空洞だったようでボロリと崩れてしまう。

 まるで、何かが土の中から、飛び出した跡みたいだな……?

 そんな疑問を覚えた時、雪弥は宵月に呼ばれた。視線を返したら、あちらを見るようにと指で促された。
 そこには何かを引きずったような跡があり、桜の根にも複数の傷が入っていた。立ち上がり、その痕跡を全体から注意深く辿ってみると、小振りな何かを引きずったようないびつな線は、仔馬の死骸の下でピタリと途切れていた。

「これ、ちょっと持ち上げて引きずった、みたいな感じの痕跡ですね」