透き通るような声とは裏腹に、言葉は高圧的な冷たい響きを持っていた。次々に口を開きかけようとした男達も、揃って黙りこむと『次期当主の弟』である雪弥の若々しい背中を見守る。
「刺し傷のようなものがありますね」
殺気に似た空気が張り詰める中、宵月が思案げに口にして「ご覧ください」と雪弥を促した。
そちらに目を向けた彼は、仔馬の干からびた皮膚に、大小様々な穴が数個ある事を確認した。覗きこんでみると、刺し傷はかなり深い。
「刺し位置は、どれもばらばらだな」
「そして、真っ直ぐではないようです」
思案しながら雪弥が低く呟き、同じように考察した宵月が続く言葉を口にする。どうも手近にあるナイフといった刃物が凶器である可能性は、ないようである。
二人のやりとりを見ていた使用人の一人が、恐怖するように肩身を狭めて、微かに震えた声でこうこぼした。
「さっきまでは元気に生きていたはずなのに、まるで、死んでずっと経ったあとのような死骸じゃないか……」
「刺し傷のようなものがありますね」
殺気に似た空気が張り詰める中、宵月が思案げに口にして「ご覧ください」と雪弥を促した。
そちらに目を向けた彼は、仔馬の干からびた皮膚に、大小様々な穴が数個ある事を確認した。覗きこんでみると、刺し傷はかなり深い。
「刺し位置は、どれもばらばらだな」
「そして、真っ直ぐではないようです」
思案しながら雪弥が低く呟き、同じように考察した宵月が続く言葉を口にする。どうも手近にあるナイフといった刃物が凶器である可能性は、ないようである。
二人のやりとりを見ていた使用人の一人が、恐怖するように肩身を狭めて、微かに震えた声でこうこぼした。
「さっきまでは元気に生きていたはずなのに、まるで、死んでずっと経ったあとのような死骸じゃないか……」