「これからシャワーを浴びるから、僕はあとで合流するよ」
「そういえば、雪弥君はまだスーツも乾かしていないんだったわね」
亜希子が気付いて、それから「いなくならないんだったらいいのよ」と、少し弱気な微笑みを浮かべた。逃亡するわけじゃないんだから、と思って雪弥は苦笑を返した。むしろ、兄に無断で帰ったら、絶対に報復が怖い。
「好きにするがいい」
蒼慶が了承したように言って、踵を返しながら「こちらへどうぞ」と桃山勝昭らを招いた。その後に、亜希子と婦人が会話を始めながら続く。
少し遅れて、その後ろをついて行こうとした緋菜が、「あら」と足を止めて自身の左腕を見やった。彼女の細い腕には、手を伸ばした桃宮アリスがくっついてしまっていた。
緋菜の後ろに身を隠すようにして、アリスがもじもじとした様子で雪弥を見上げた。ウェーブがかった長い金髪が、ヴェールのように小さな背中をすっぽりと覆っている。
「あの、お初にお目に掛かります。桃宮アリスです」
「そういえば、雪弥君はまだスーツも乾かしていないんだったわね」
亜希子が気付いて、それから「いなくならないんだったらいいのよ」と、少し弱気な微笑みを浮かべた。逃亡するわけじゃないんだから、と思って雪弥は苦笑を返した。むしろ、兄に無断で帰ったら、絶対に報復が怖い。
「好きにするがいい」
蒼慶が了承したように言って、踵を返しながら「こちらへどうぞ」と桃山勝昭らを招いた。その後に、亜希子と婦人が会話を始めながら続く。
少し遅れて、その後ろをついて行こうとした緋菜が、「あら」と足を止めて自身の左腕を見やった。彼女の細い腕には、手を伸ばした桃宮アリスがくっついてしまっていた。
緋菜の後ろに身を隠すようにして、アリスがもじもじとした様子で雪弥を見上げた。ウェーブがかった長い金髪が、ヴェールのように小さな背中をすっぽりと覆っている。
「あの、お初にお目に掛かります。桃宮アリスです」