こんな娘が欲しかったと続けて主張しながら、小さなラビをぎゅうぎゅうに抱き締めているのは、セドリックとルーファスの父親であるヒューガノーズ伯爵である。
 見栄えのする正装服に身を包んでおり、彫りは深い顔立ちながら、人の良さや持ち前の愛想が滲む子供のような丸い目をしている。息子達と違って濃い蒼灰色の髪色をしており、口許にはトレードマークのように形を整えた髭があった。

 なんでこの人は、こう毎回のスキンシツップが激しいのだろうか。

 ラビは、無駄に馬鹿力でもあるヒューガノーズ伯爵の腕の中で、酸欠を起こしかけながらそう思った。そこは息子達と全く違っている。すぐ抱き締めたがるし、膝の上においでと誘ってくるし、色々と洋服をつけさせたがるのである。

 昔、伯爵に直接「セドリック達に似てないところだよ」と指摘したら、「いやいや、セドリックは私似になるかもしれないよ?」とどこか含む笑顔で返された。もしや大人になったら、ルーファスもセドリックもこんな感じになるのかと想像して、ドン引きしかけたが――