王宮警察部隊に先導されての王都入りとか、改めて考えてみても物騒である。

 警察部隊の装甲が頑丈な黒塗りの馬車は、その存在感が目立って人々の視線を集めた。そのうえ、まるで容疑者として連行されているような錯覚には、精神的に更に削られる感じも半端ないので、今後一切やめて頂きたい。

 ここは別世界かと思うほどの、視界に収まりきらない巨大な王宮入口前で馬車を降りたところで、ラビは強い疲労感を覚えた。騎士団の二台の馬車と共に、黒々とした警察部隊の馬車が並ぶ様子はやはり物々しい。

 下車する際に帽子はかぶっていたものの、そこから覗く金髪が、正午前の日差しを受けてキラキラと輝いていた。周りにいた衛兵や貴族達が、チラチラと目を向けてくるのも分かって、ラビは帽子を更に深く頭に押し込んだ。

「…………見せ物じゃねぇぞ」

 思わず、誰にも聞こえない声量で、本音を口の中に落とした。

 髪や瞳が金色というだけで、災いや病気をもらうなんて阿呆みたいな迷信だと思う。どうしてお伽噺に描かれる金髪金目は、みんな悪役ばかりなのだろう?