けれどなんだか、到着してからずっと、正体の分からない熱い視線を向けられているような気もしていた。どうしてか知らないが、こうして立ち寄った事を、やたら歓迎されている眼差しでもあるような……

 ノエルが察した顔で、しばし待つ事を決めて腰を落とすそばで、ラビは自分の思い違いかもしれないと考え直して、幼馴染に視線を戻して尋ねた。

「セドリック、案内するのに何か問題でもあるの?」
「えぇと、実はその、両親が揃って待っている部屋まで、出来れば僕がエスコートしたいというか――」
「えすこーとって?」
「家の中は広いので迷子にならないよう手を取って案内したいと思いましてッ」

 何故かこれまでにない早口で、セドリックが一呼吸でそう言ってきた。

 何に対して慌てているのか、全く理解出来ない。広い家の中で迷子になる客人も多いから、手を引いて案内しているのだと言ってくれれば、こちらだって別に意地を張って拒否したりはしない。