なんだか気恥しくなって、ラビはむっとした表情を作って彼の顔を押し返した。

「なんだよ、向こうの人達には怪しまれないように喋っているんだし、別にいいじゃん」
「寂しいです、僕と話してください」
「は…………?」

 こいつ、どこかに頭でも打ったんじゃないだろうか。

 なんで少し話しをしなかっただけで『寂しい』になるのだろうか、とラビは訝った。四歳も年上の癖に、やはり弟みたいな彼をまじまじと見つめ返した後、やはり顔が近いのが気になって「というか、覗きこんでくるなよ」と言って押しのけた。

 すると、セドリックが続けてこう言ってきた。

「こうでもしないと、ラビはあまり目を合わせてくれないじゃないですか」
「またいつもの説教?」

 この幼馴染は常々、話す時は人の目を見て……という感じの事を言ってくる。いつも視線を合わせていない訳ではないのに、昔から大変しつこく続いていた。

 顰め面のラビの横顔を見やったノエルが、つい『理由は分からんでもないがなぁ』と呟いた時、セドリックが屈めていた背を伸ばして「それに嬉しい報告もあるんです」とにっこりとした。