とはいえ、各専門部署に通達がされているだけで、法的な拘束力は何もない。監視員を立てている訳でもないので、森の入口の看板の表記を読んでの自己責任だ。

 ラビは、ぱっと思い付いた事を質問してみた。

「つまり、オレ達は遺跡の正体というよりは、そこに『宝』があるか調べるって事?」
「その通りだよ、ラビ。今回の目的は、その遺跡にあるとされている『宝』の方だ」

 相槌を打って、ルーファスは手元の資料を指先で叩いた。

「調べる価値は十分にある。そこが宗教的な遺跡でなく、不思議な術を使っていた古代の獣師にとって特別な場所だったとしたならば、その『宝』は黄金や財宝ではなく、不思議な力を持った遺物である可能性が高いからだ」

 妖獣と呼ばれるモノが、当たり前にある暮らしがあった古き時代が存在していたとすれば、宗教的な跡地だと専門家が評価しただけに期待は出来る。

 それを肯定するように、ノエルが『可能性は十分あるだろうな』と強く言った。