どうだい、とルーファスは考える時間を与えるように言葉を切った。

 ノエルは少し思案すると、『――なるほど、特に最後のは悪くねぇな』と呟いた。

『ランクの低い獣師ほど、戦闘値の高い獣を従える事はまずないだろうっていう先入観は、今の時代も変わらないらしいな。つまり俺を連れている事で、ラビは害獣を扱えるくらいの獣師だっていう印象を周りに与えられるわけか』
「その通りだよ。獣師は本来、動物医、または飼育といった専門家のようなものだからね。中型クラス以上の肉食獣を連れている獣師は、対害獣任務をこなす度胸ある者だけだというイメージが根強い」

 そのルーファスの返答を聞いて、ノエルは確認するようにこう尋ねた。

『王都やその近辺だと、出自や経歴や身分や功績といった何かがない新参者でも、そういった獣師であればある程度認められている感じでもある、って解釈で間違いないか?』