唐突に話の先が見えなくなり、ノエルは『はぁ?』と呆気にとられた声を出した。自分の声が人間に聞こえているままだという事も忘れて、『ちょっと待て』と言って、きょとんとしたラビの様子を窺う。

『俺が楽しそうだったって、一体なんのこと言って――』
「この前、ラオルテの町でみんなに姿が見えていた時に、騎士団とお喋りをしていたノエル、すごく楽しそうだったよ。なんだかノエルに友達が出来たみたいで、オレは嬉しかったな。だから、姿が見えるようになる方法があるのなら、今度はオレがノエルの手助けをしたいんだ」
『…………あのな、ラビ? 別に俺は』

 そう言い掛けて、ノエルは諦めたように耳を左右に垂れさせた。深い溜息を吐きながら、前足で顔を伏せて『……俺は多くを望まねぇ。ただ、【小さいラビィ】がいればそれでいいんだ』と口の中で呟く。

 ラビは幼い頃、彼が自分をよくそう呼んでいたのを思い出した。大きくなった今でも、たまに口をついて出る事があるのも知っている。