ラビは困りはててしまい、素の表情で隣の幼馴染をチラリと見上げた。彼女の大きな金色の瞳とパチリと合ったセドリックが、「うッ」と弱い所を突かれたかのような顔で硬直する。

 それを見たユリシスが、首を伸ばしてラビを小さく睨み付け、小声でこう言った。

「あまり副団長を困らせないで頂きたいですね」
「うるっさいな。オレだって一生懸命考えてるのッ、どうやって簡単に話したらいいのか分かんないんだけどこの眼鏡野郎ッ」
「君は、パニックになると本音と暴言が独特に混ざりますね」

 仕方ない、ここは自分が総団長に、あの事件についてどうにか説明報告をするしかありませんね――とユリシスが呟いて、小さく息を吐いた時、


『ったく面倒臭ぇ野郎だなぁ』


 どこかラビの荒々しい口調を思わせるような、野太い声が室内に響き渡った。