しばらく歩いた後、ラビは借りた部屋の扉の前で足を止めた。さぞ埃臭い空気で満ちているのだろうと予想しながら、溜息をこらえて鍵を回した。
扉を開けた途端、何故か爽やかな風が頬を打った。びっくりして手狭な室内を見渡すと、窓は全開にされていて、吹き抜ける風にカーテンが心地よさそうに揺れている。
寝具一式も、張られたロープに引っ掛けられて干されていた。床は、まるで掃除したばかりのようにキレイで、埃一つない。
「…………一体、何がどうなってんの?」
思わず、呆気に取られて呟いた。ノエルが『ひとまず入ろう』と言ってきたので、ラビは遅れて部屋の扉を閉め、それから再び室内の様子を見渡した。
「いちおう、ここって住居じゃなくて宿だし、オレらが離れている間に、誰かが勝手に使っているとか……?」
『直近で人間が出入りした匂いはしないな』
ノエルが鼻先を動かして、慎重に足を進め始め、ラビもそっと後に続いた。
その時、一つの物音が上がった。警戒して咄嗟に振り返ると、浴室からふわふわと宙を飛んでくる灰色の仔猫の姿があった。
扉を開けた途端、何故か爽やかな風が頬を打った。びっくりして手狭な室内を見渡すと、窓は全開にされていて、吹き抜ける風にカーテンが心地よさそうに揺れている。
寝具一式も、張られたロープに引っ掛けられて干されていた。床は、まるで掃除したばかりのようにキレイで、埃一つない。
「…………一体、何がどうなってんの?」
思わず、呆気に取られて呟いた。ノエルが『ひとまず入ろう』と言ってきたので、ラビは遅れて部屋の扉を閉め、それから再び室内の様子を見渡した。
「いちおう、ここって住居じゃなくて宿だし、オレらが離れている間に、誰かが勝手に使っているとか……?」
『直近で人間が出入りした匂いはしないな』
ノエルが鼻先を動かして、慎重に足を進め始め、ラビもそっと後に続いた。
その時、一つの物音が上がった。警戒して咄嗟に振り返ると、浴室からふわふわと宙を飛んでくる灰色の仔猫の姿があった。