「オレが子供に見えるのが、そんなに嬉しいわけ?」
「俺がそう見えているわけじゃないですよ。周りの人が、勝手にそう受け取っているだけです」

 セドリックが、兄の面影が見える、美麗で落ち着いた笑顔で言った。

 普段は弟みたいな幼馴染なのに、ここにきて年上らしい余裕のある態度をしれっと取られて、ラビはカチンときた。

「オレは十七歳だし、子供じゃないッ」

 思わず足を踏みつけてやろうとしたら、彼が馬車に向かい出しながら、あっさり避けてしまって余計に悔しくなった。

 その時、馬車からジンが顔を出して、「副団長、何してんですか。もう行きますよ」と言ってきた。セドリックがそれに手で応えて、それから肩越しにラビを振り返り、少し申し訳なさそうにして笑った。

「すみません、ちょっと意地悪な事を言ってしまいました。どうか怒らないでください。明後日、どうにか時間を作って、俺が迎えに来ますから」
「チェンジ! 他の人で!」
「えぇぇぇ、チェンジって……そんな寂しいこと言わないでください」

 途端にいつもの弱った表情を浮かべて、セドリックがそう言う。