ふと、そういえば周りの反応はどうなんだろう、と思い出して、ラビは辺りに目を向けてみた。
 歩き続けている王都の人達は、ほとんどこちらを見ていなかった。チラリと目を向ける人もいたが、まるで普通で当たり前の事みたいに、特に違和感を覚えている様子もなく視線を外して歩き去ってしまう。


「――ああ、ほら。やっぱり子供に見えているんですよ。だから、どこでも俺がラビをこうして抱き上げるのも、何も問題ないんだ」


 どこが自身にそう言い聞かせるような、セドリックの声が聞こえた。

 視線を戻すと、どこか吹っ切れたみたいに、力強い眼差しをしている彼がいた。よく分からなくて「それ、どういうこと?」と尋ねてみたら、彼が強気な様子のまま言葉を続けた。

「大人同士だったら『抱っこ』するのも、きっと恥ずかしくて出来ないと思います。でも俺は、実際にこうして普通に抱き上げています。ラビだって、緊張していませんよね?」
「うん? まぁ、そうだね」