「ここは王都ですから、大人と子供の対応は、きっちりと分けられているんです」
「そうなの?」
「そうです。マナーが違っていたら、絶対に指摘してきます」

 見つめ返してみたその表情は、あまり見ないくらいとても真剣だった。なんだか、やけに強い眼差しをして、彼は珍しく引かない様子でそう断言してくる。

 誰よりも優しいところがあるこの幼馴染は、もしかしたら自分がヒューガノーズ伯爵に困っていると思って、協力してくれようとしているのかもしれない。

 幼い頃から一緒に過ごしてきたから、ラビはセドリックが嘘をつくとも思えなくて、王都の人達は全員『話す時には相手の目を見るべきです』と、他人にも説くような者達なのだろうと解釈した。

 そうであるのなら、自分が『抱っこ』されたら指摘してくるだろう。セドリックだって、実際に抱き上げたら違和感を覚えて、抱き締め癖がある彼の父親の説得を手伝ってくれるかもしれない。

「試してみていいよ」