もしかしたら、セドリックも説得に参加してくれるかもしれないと考えて、ラビはそう教えた。

 多分、ヒューガノーズ伯爵は、優しい次男は自身の味方だと思って、そう言っているのだろうとは推測している。だって、十七歳になった今でも『子供扱い』で抱き上げるのは、おかしいと思うのだ。いつももみくちゃにされるから、そろそろあの過剰なスキンシップは卒業させるべきじゃないのかな、とも思うのである。

 場を見守っていたノエルが、気遣うようにチラリと彼を見やる。

 セドリックは、どうにかゆっくり背を起こしたものの、様々な思考と感情でいっぱいになって目を落とした。茫然とした表情のまま、「……『抱っこしたり』『膝の上に座らせたり』……」と、問い掛けられた言葉を口の中で反芻していた。

 しばし落ち着けるための時間を置いてから、セドリックは、答えを待っているラビの大きな金色の瞳に視線を戻した。

「……多分、ラビが小さいから、父にはまだ子供に見えている、とか……。えぇと、そういう事じゃないですかね」