危ないから馬には乗らないように、とは数年前までよく言われていて、当時のように長々と、危ない理由を心配そうに説かれる可能性が過ぎったからだ。この任務の間、ずっと専属獣師として行動を共にしていたので、正直言うと疲れてもいた。

 実年齢の十七歳には見えないくらい、ラビは華奢で小さい。それに対して、ノエルは一般害獣種の狼や山犬よりも一回りは大きいから、並ぶとより大小の差が見えて存在感が増した。しかも大型肉食獣種だから、その組み合わせは余計に目立つ。

 それはラビだけでなく、ここにいる全員が推測している事でもあった。同じようにそれについても推測したのか、誰も回答も得られないまま、ルーファスが首飾りに軽く指を向けて再び口を開いた。

「私が予想していたより、君は少しばかり大きくてね。その術具で調整出来ないかい?」
『言っておくが、俺にとっちゃコレが最小サイズなんだ。これ以上は小さくなれねぇよ』

 犬じゃねぇんだぞコラ、とノエルが怒鳴りたい気持ちをこらえるような表情で、ぷるぷると震えてそう口の中にこぼした。ラビは可哀想に思えて、つい「ルーファス、ノエルはずっとこの大きさだよ……」と、そう教えてあげたのだった。