冷やかにも見えるルーファスの、色素の薄い印象がある藍色の瞳が、チラリと動かされてセドリック達を見渡した。それから、目元を和らげてラビに目を留めると、隣に立つ黒大狼のノエルと見比べるように、顎に手をやって何度か視線を往復させて、少しだけ首を傾げて口を開いた。

「男達と並ぶとそうでもないが、改めてラビとのセットだけで見ると、ノエルは随分大きいな」

 ラビが乗れそうじゃない? と、ルーファスが可愛らしい感じで一同に問う。その愛想たっぷりの、無害なご近所のお兄さん、といった雰囲気を醸し出す総団長を見て、ヴァンが「誰だコレ」と言い掛けた口を、サーバルが慌てて手で塞いだ。

 実際に、前回の氷狼の一件でも、そして今回の調査任務でも、まるで馬みたいに黒大狼に乗っているラビを目撃している。けれど、あまりにも猫を被ったルーファスの様子が衝撃的過ぎて、その場にいたユリシス達は、何も言えないでいた。

 ラビは、その件に関して正直に答えていいものか、とセドリックに確認するような目を向けられて、すぐ横目に見上げて小刻みに首を横に振っていた。