そのそばで、ユリシスが思い返して「団長が受け取っていた手紙は、総団長からの個人的な物ですか」と、確認するように視線を向ける。セドリックが「多分、そうでしょうね……」と、顔をそらしながらぎこちなく答えた。


「つまり盗賊達は君を助けて、最後は協力してくれた。そして、小さな妖獣が色々と教えて、手助けしてくれたわけだね。ラオルテの町の時と違って、今回の『見えない生物』は味方だった、と」

 一通り話を聞いたルーファスが、興味深そうに椅子へ背をもたれて、足を組み直した。姿がハッキリ見えているノエルへ目を向けて、軽く片手を上げて問う。

「前回は敵になって、今回は味方になった。その違いはなんだい、ノエル?」
『そもそも、ラオルテの町に出たのは、低知能・共存不可な悪質の低級妖獣だった。元々あいつらは、人間にも妖獣にも、害にしかならねぇ種族なんだよ』

 これ以上は必要ないだろ、とでも言うかのように、ノエルが苛々した様子で口を閉じた。話を切り上げる気配を察して、ルーファスは「ふうん……?」と思案の読めない流し目を彼に向けていた。