ジン達がやや呆気に取られて、「……可愛げのなさをどこにやった」と各々の感想を口の中に落とす。その声も耳に入らないまま、ラビは話し続けていた。

 盗賊団を成敗して、財布を取り返してやった話の部分も、ルーファスは始終いい笑顔だった。人を騒ぎの元凶みたいに言っていた男達とは違って、よくやったと褒め、途中でさらりと、こんな冗談を交えてきたりした。

「ラビのズボンの後ろポケットか――俺だったら、その場で殺してる」

 ラビは、父親であるヒューガノーズ伯爵同様、相変わらずジョークやお喋りが好きな幼馴染だなぁ、としか思わなかった。痴漢されたわけじゃないよ、と教えてあげたら、ルーファスは何も言わず、にっこりと笑い返してきた。


 その話しの最中、ノエルは口を挟めず、顔を引き攣らせていた。遅れてようやく察したヴァンとサーバル、ジンとテトが「まさかの、めちゃくちゃ過保護……」と戦慄して、性別を知っている事は絶対に知られないよう心に誓う。