「なるほどな。それで妙な蛇やら、大蛇やら出てきたってわけか」
「兄貴、謎の古代人なら、呪いも摩訶不思議な事とかも、起こりそうだもんな」
「やっぱ遺跡って、オバケより怖いところだったんだなぁ」

 盗賊兄弟の中で、一番若い彼がそう言った。どこか尊敬するような目をノエルへと向けて、「でもさ」と言葉を続ける。

「俺、ちっちゃい時に、動物と喋ってみたいなぁって思ってたんだよなぁ」
「それすげぇ分かる」
「ロマンがあるよな」

 ベックと次男が、気持ちは同じであると三男に相槌を打った。ノエルが『頼むから、真っ直ぐキラキラと見てくんなよ……』と口許を引き攣らせると、当初の困惑をどこへやったのか、彼らが「やっぱり狼が喋ってる!」と楽しげに騒いだ。

 ユリシスは、表情筋がないような生真面目な表情を貫いて、最後の仕上げにかかって口を開いた。

「獣師である『彼』については、まだ国家獣師の登録はされておらず、情報は公にされていない状況です。『天才獣師』である事と、『その相棒の秘密』と呪いの件は、他言無用でお願いします」