「露骨に『チビ獣師』って呼んでくんの、やめない? というか、オレ、前にも言ったじゃん。お前らが見えてない方が不思議なんだよ」

 ラビはイラッときて、唇を尖らせた。氷狼の一件以来、彼らが平気でチビだの小さいだの言ってくる事については、腹立たしく思っていたから、ここにノエルの事を知らない三人の盗賊がいる事を忘れて、ヴァンを睨み付けていた。

 腰を伸ばしたセドリックと替わるようにして、ユリシスが片膝をついて、ノエルが身に付けている首飾りを観察した。

「この宝石の質と大きさからすると、本当に『お宝』のようですね。滅多にお目にかかれないような、他の色も含まれていない高純度のアメジストです」
『人間にとっては『お宝』だろうな。ただ、俺の制御から外れると、手に触れただけで意識が飛ぶ代物だぜ』
「それは、こうして今の状態であれば問題ない、と報告をしても構わないという事でしょうか?」
『ああ、この状態なら無害だ。勝手に周りに影響を与えちまう事もない』