走るノエルのスピードがぐんっと速くなって、ラビは咄嗟に息を止めた。その直後、大きく跳躍した彼と共に、一気に外の世界に飛び出していた。

 とても高い位置にある遺跡の天井、風化が窺える亀裂の入った周囲の壁や、柱の様子が目に留まった。ふっと辺りを見回してみると、広々とした空間に蛇の姿は一匹もなく、黄土色をした明るい砂が、薄らと積もっているだけだった。

 下に目を向けると、こちらを見上げているセドリック達の姿があった。剣は既に鞘に収められていて、彼らが「あ」という形に口を開けて、目を丸くする。

 そこには、頭にターバンを巻いた三人兄弟の盗賊団もいて、ベック達が途端に指を向けてきて「デカい狼だッ」と、驚愕の声を上げた。

「あ。ほんとに見えているんだ」

 ラビは、彼らの反応を見て、術具が効果を発揮しているらしいと分かった。ノエルと共に下に向かい、その背から降りて着地する。

 すると、すぐに心配性の幼馴染であるセドリックが駆け寄ってきて「怪我はありませんかッ」と確認してきた。