その部屋の中心部分には、細くて長い展示台のようなものがあった。こちらも、大きな木を切り倒して、丹念に磨き上げたかのような台だ。

 そこにぽつんと置かれていたのは、置き場所を間違えたかのような美しい首飾りだった。随分質素な木材色に染まった室内で、異色の存在感を放っている。

 男性用であるのか、首飾りはチェーンの部分が、かなり大きく作られていた。金細工は、古い時代の物とは思えないほど、曇り一つない滑らかな光沢がある。

 その金細工の中央部分には、大きなアメジスト色をした宝石が収まっていた。それは中心に向かうにつれてブルーの色彩を描き、更に透明度を増して、中心は白銀と化していた。まるで夜空の星の輝きを、そのまま閉じ込めたかのようだ。

「キレイな宝石だね。青と白銀が混じっているけど、この星みたいな柄は、どうやって作ったんだろう?」
『これは生粋のアメジストだ、中に混じっている色は魔力の結晶でな。大きすぎるエネルギーが濃度を増して集まり続けると、稀にこういった結晶化を起こすが、普通の人間には、ただの一色のアメジストにしか見えない』