『混乱しているみたいだな。ざっくり簡単に説明すると、別空間に続く入口があって、訪問した人間に反応して『扉』が開く仕掛けになっていた。オレはそこに飛び込んで、真っ直ぐ一本道を奥に向かって進んでる』

 説明を受けて、ラビは「なるほど」と相槌を打った。大蛇の中であるのは間違いないけれど、そこには別に空間があるらしい、とざっくり理解する。

「随分静かだけど、大蛇はどうなったのかな」
『こうしてきちんとした別空間が設けられて、手間を掛けてわざわざ『宝置き場』まで作られているって事は、もしかしたら訪問した人間への配慮で、一時停止の術設定になっているのかもしれねぇな。蛇の集団については、どうかは分からねぇ』

 大蛇が動いて暴れ回ったら、きっとこうして歩く事もかなわなかっただろう。術具を使える次の人間が来るのを、待つために掛けられた術、という実感も増した。

 ずっと真っ直ぐ進むと、倉庫のような正方形の室内に辿り着いた。こじんまりとした空間内は、まるで大事なものを仕舞う木箱みたいに、分厚い木材で頑丈にしっかりと組み立てられていた。