「いつか『門』が閉ざされてしまったら、このような光景も、見られないのだろうねぇ」

 そう呟く、穏やかな男性の声が聞こえた。

 目を向けてみると、少し先の草原に、足まである長い金髪を背中に流した長身の男性がいた。ゆったりとした白い布地で、身を包んでいる。

「師匠、そんな事は起こりませんよ。今までも、それからこれからも、ずっと僕らは共存し助け合って、共に生きていくのでしょう」

 どこからか、若い少年の声が聞こえてきた。しゅーっと、小さな蛇の音が上がる。

 長身の男が、僅かにこちらを振り返り、雪みたいな白い肌と、形のいい薄い唇がチラリと覗いた。

「ふふっ、なんとなくね、そんな予感がして言ってみただけなんだよ。だから気にしないでくれ。君は将来、きっと偉いところの神殿を任される一人になるんだろう」
「もう、またすぐそんな冗談を言うんだから……。何度も言っていますけど、僕には師匠達みたいな才能もありません。ただ、こいつらが可愛くて仕方ないだけなんです。友になった大蛇達と一緒にいられるように、いつか契約出来るといいなと思って、修行を頑張っているだけですよ」