その直後、怒号するような吠える声と同時に、噛み合わされた大蛇の口下に向けて、ノエルが砲弾のように空気を震わせて急降下し、第二派の頭突きが見舞っていた。

『たかがひよっこ大妖獣ごときが『この俺』を煩わせてんじゃねぇッ、口を開けやがれってんだこのデカブツヤロー!』

 まるで巨大な獣に一撃をくらったかのような、重量級の威力で激しい打撃音が上がった。顎が外れたのではないか、という様子で、大蛇の口がパカリと開く。

 それを見たノエルが、『よしっ』と言った。宙を浮いてふわりと後退すると、その直後に鳥のように素早く旋回して、その背中に落下するラビを受け止めた。

『そのまま口の中に突っ込むぜ、ラビ!』
「了解!」

 ラビは、親友の背中の優雅な毛並みを握り締めた。ノエルが見えない足場でもあるかのように一気に宙を駆けて、一瞬ほど失神したかのようにぐらついている大蛇の口へ、真っすぐ突っ込んでいった。