一度攻撃を受けたら、反撃のスイッチが入って大蛇が動き出す。

 すんなり口の中に突入するのなら、一撃目でしっかり開口させるチャンスを作らなければならない。

 ラビは、カチリとそちらに思考を切り替えて、大蛇に視線の的を絞ると、剣を鞘に仕舞った。飛びかかってきた小さな蛇の横腹に蹴りを入れ、続けて反対側の足も振り上げて払いのけ、更に走る速度を上げて、ノエルと共に大蛇を目指す。

 これからの行動を思ったジンが、目を剥いて「マジかよッ」と口にし、慌ててテトを呼び寄せて、彼女に向かう蛇の阻止に取りかかった。ユリシスが露骨に顔を顰めて舌打ちし、一気に踏み込んで、ラビの斜め後ろに付いて蛇の対応に当たる。その空いた位置に、急ぎサーバルが駆け寄って構えた。

 声がよく聞こえていない後方のベック達が、「なんだ何が始まるって!?」と叫び返したが、早急に動き出した事態を前に、答えられる者はいなかった。