「渡り鳥のみんなを呼んで来てくれて、本当にありがとう、トーリ」
『ああ、だからもういいって。何度も感謝されると、くすぐったくなるぜ』

 トーリが、ラビを見つめ返して、照れ隠しのように片手を振った。

『こうして人間と話すのも、随分久しぶりで面白かった。それに、こうやってあんたに名前を呼ばれるのも、悪くない』

 名前なんてほとんど呼ばないもんなんだぜ、と、ちょっと照れ臭そうにトーリが笑った。自分の場所を行き来していた人間の何人かが、口にしていたくらいだったな、と思い出すように言う。

 ラビは遅れて「あ」と、声を上げた。自分が自然と、ノエル相手みたいに彼を呼んでしまったと気付いた。

「勝手に呼び捨てにして、ごめん。トーリさんって呼んだ方がいい?」
『いんや、『トーリ』でいいよ。みんな俺のこと、そうやって気軽に呼んでくれていたんだ』

 そう言って、トーリがどこか懐かしむようにそっと目を細める。けれど、自身でもよく分からない様子だった。