「そういう事らしい。やるなら、今がチャンスだ」
「獣師ってのは、予想外で不思議な戦い方をするんすね……。まぁ、有り難ぇ助っ人だ」

 難しい事を考えている状況でもない。おおまかに理解したと答えたヴァンが、持ったままの剣を下に構えて「強行突破っすか?」と続けて確認する。

 彼らが手短に段取りを話し合う様子に気付いて、ノエルが声だけながらもそこに加わった。まるで策でもあるかのような迷いのなさで、大蛇まで最速で接近したいとする彼の要望を聞いて、セドリックが戦力配置と各役割を指示した。

 鳥達が頑張っているとはいえ、数ではまだまだ押されている状況だ。この人数で達成するには、少しでも戦力が要る。若手のテトとジンのコンビにつくよう、ベック達には協力が要請され、副団長を中心にざっと手短に話し合われた。

 ラビは、相手にされなかったトーリが、悔しそうにノエルの方を眺めて『あの犬野郎』と呻る声を聞いた。彼らの注意がこちらから外れている気配を背中で感じて、「さっきは、ノエルがごめんね」と、素の柔らかな苦笑を浮かべて謝った。