それをタイミングよくバッチリ目撃してしまったラビは、「うわぁ……」と口許に手をあてた。ノエルの声だけしか聞こえていないセドリックが、一体どうなっているんだろう、という部下を代表して状況を尋ねる。

「地下で話したという妖獣が、上の方にいるんですよね?」
「あ、うん……。えぇと、実はこの鳥達は、昨日ザイードの街で羽を休めていた渡り鳥達で、それを彼が連れてきてくれたみたいなんだ」
「俺達には『彼』の声は聞こえないのですが、ノエルと何か話しているんですか?」
「ちょっと言葉を交わしているんだけど、その、オレもびっくりするくらい、トーリは外見に似合わず、口調が荒っぽい動物というか……」

 今『猫』なんて単語を出したら、トーリが余計に切れて、話がごちゃごちゃになりそうな気がする。ラビは、セドリックとの会話を見守る男達にも聞こえるように話しながら、悩ましげに眉を寄せていた。

 とりあえずこり鳥達は、こちらの事情を知っている味方で、蛇の群れを抑えるのを加勢してくれている状況なのだと説明した。すると、副団長であるセドリックが、副官のユリシスに目配せして、集まっている部下達をざっと見渡して声を掛けた。