『俺が今出来るのは、こうして【声】を聞かせるくらいだ。それにもし使えたとしても、俺は魔力の消費がバカにデカいっつうか、威力を抑えるのが不得意なタイプの妖獣というか…………。この屋内程度の広さだと、一瞬で酸素が飛ぶ――』
「分かった他の方法を考えるわ!」

 最後の下りで察したジンが、恐ろしい想像を振り払うように、一呼吸でそう言いきった。

 先程も、蛇達の侵入を防ぐのでせいいっぱいで、こちらから押す事は出来なかった。その状況で、向こうにいる大蛇までの道を切り開けるのか。何より辿り着いたとしても、ノエルとラビが、すぐに対応に入れるのかも予測が付かない……。

 セドリックが、鋭い視線を『敵』に向けて、口の中にそう思案をこぼす。同じように考えを巡らせているユリシスの横顔を見て、一番後輩のテトがサーバルと目を合わせ、続いて厳しい表情で考え込んでいるヴァンを盗み見た。

 ラビは、一般的に知られている大型種の蛇が、噛み付くまでの速度を獣師としての知識から引っ張り出した。頭を持ち上げているあの大蛇へ、上から接近するのはリスクが高いだろう。そう考えて、再び視線を床一面の蛇の群れに向ける。