「しかも毒持ちもいて、噛まれたらアウト。さっきも、ここに踏み込ませないだけでせいいっぱいの状況だった。そのうえ、あの大蛇まで到達したとして、そいつまで動き出して同時に相手をするってなると、相当きついぜ」
「その通りだ。しかし、一つずつ戦力を削る事も出来ないだろう。大蛇の方をどうにかしないと、この蛇の群れを消せないのも確かだ」

 考え込んでいたセドリックが、ピリピリとした眼差しを蛇達に向けたまま、思案気にそう意見した。

 その時、ジンが何事か思い付いた表情を浮かべた。視線を蛇の方から、ノエルの声が聞こえたラビの隣へと移して「なぁ、ワンコ」と呼ぶ。

「前に氷狼とぶつかった時、黒い炎みてぇなの、ちょっと出してただろ。あれで焼き払う事は出来ねぇのか?」
『俺は犬じゃねぇぞ髭野郎。んなの出来るわけねぇだろ。いいか、あれは魔力――エネルギーとなる『月の石』があったから出来た事だ』

 ノエルが苛々した様子で、『セドリックと眼鏡野郎には、先に説明したが』と言って続ける。