姿形が蛇であるというだけで、自分達が知っているような普通の蛇とは違うのだろう。ラビも、改めて大蛇の姿を目に留め、それから体色が流動して常に動いているような、半透明の蛇の群れの様子を観察してそう思った。

 奥にいる大蛇も、周りを固めている蛇の群れも、舌を出してこちらの体温を感知するような様子はなかった。蛇独特の特徴的な呼吸音や、威嚇音も一切なく、それがより不気味で、セドリック達の警戒心も増しているのだ。

『大蛇については、自身が攻撃されているわけじゃねぇから、反撃のスイッチが入っていないだけだと思うぜ。一度手を出せば、息を吹き返したみてぇに動き出すんだろうさ』

 一同の疑問に答えるように、ノエルが大蛇を真っ直ぐ見据えてそう言った。

 セドリックが、声がした方に顔を向けて、ちょっとだけ不思議そうに「こちらの出方を窺っているわけではない……?」と疑問を口にする。

『さっきラビが説明した通り、アレもまた術で作られてんだ。生物にみたいに思考して動く事はしない。その行動パターンは、予(あらかじ)め設計された『自動反撃』だ』
「周りで止まっている蛇も、同じですか?」