獣師としての看板を掲げて仕事を始めた際、ラビは自分なりに出来る範囲で、個人事業として法に触れないか情報は集めた。害獣を専門とする獣師の割合が少ないというだけで、一般的な特定害獣くらいは対応可能な獣師は多くいる。

 勿論、年齢制限のない職業だから未成年獣師も珍しくない。ラビは遠くから薬草を買いに来てくれる個客達に、隣の村や町に個人獣師の看板も多いと話は聞いていた。

「……あの、ルーファス? オレは薬草師の仕事が大半で、獣師としてはちょっとした依頼が少しあるくらいで、害獣に対応出来る保証もない状況というか……それなのに騎士団の専属とか物々しいと思うんだ。うん」
「というと?」

 え、今の理由じゃ駄目なの?

 ルーファスに間髪入れず爽やかに尋ね返されてしまい、ラビは戸惑った。

「えぇと、オレはのんびり気ままな田舎の獣師暮らしが性に合ってるし、専属で仕事受けるような才能もないし……?」